Girl Powerユース・チームによる新連載企画
【WOMEN】20代女子が学ぶ  “彼女たちのターニング・ポイント”

このコーナーは、ガール・パワーのユース・チームによる連続インタビュー企画です。

ユース・チームはU30の大学生、社会人、つまり主に20代の若者によるチームですが、この年代は自分のキャリアや人生のデザインについて、悩みの多い年頃です。多忙な毎日の中で、キャリアの選択や女性としての人生の大きな選択に迫られる。そんな年代です。

ガール・パワーは「女性が自由に生きるための女子教育」をテーマとしたNGOですが、この日本社会においても、「女性として自由に生きる」ために、なにをどう考え、どのように自分のキャリア、人生をデザインすればいいか、悩んでいる20代女子も数多くいます。

そこで、ユース・チームの女子メンバーを中心に、女性としての生き方を学ぶため、わたしたちがロール・モデルだと思えるような女性にインタビューする、そんな連載企画を立ち上げました。

さまざまな分野で生き生きと輝いて活躍している女性にも、人生を決定するターニング・ポイントがあったはず。その時、なにを考え、どのように選択を決定し、それがその後の人生にどのような意味を持っていたのか。人生の選択と決断を伺い、若い女子たちが自分の人生の選択に迷ったり悩んだりした時に役立つ、そんな連載企画になるように頑張ります。


【第1回】安倍昭恵さんインタビュー

総理夫人として多忙な公務をこなしながら、そのいっぽうで「安倍昭恵」という一人の女性として、居酒屋「UZU」のオーナーとして店舗プロデュースを行い、精力的に東北支援活動に取り組み、さらに手話ダンスや長刀のチームを結成し、多彩な活動を続けていらっしゃいます。ガール・パワーの顧問として、世界の女性や少女の支援活動にも関心を寄せてくれています。

日本のファースト・レディであることによる、マス・メディアや世間からの大きな重圧を受けながらも、女性として自由でパワフルでいらっしゃる、そんな印象を与えてくれる安倍昭恵さんから、わたしたち若い女子も学ぶべきことが多いはず。学びたい。そんな想いから、第一回目のゲストとしてインタビューをお願いしました。
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インタビュアー 西川礼華(ガール・パワー専務理事、ユース・チーム代表)
場所:総理公邸
日時:2015年4月

 

ーー第一のターニング・ポイント「安倍晋三氏との運命的な出会いと結婚」

【西川礼華(以下、西川)】昭恵さんが今まで人生歩んでいらした中で、きっと今まで人生の選択を迫られたことがあったと思います。悩んだり、ひょっとしたら後悔したりしたこともあったのかもしれないと思いますが、そうしたところから私たちが学ばせていただけることもあると思います。こうしたところが人生の大きなターニングポイント、岐路に立ったところだったな、大きな選択だった、そのことについてお話しいただけますか?

【安倍昭恵(以下、昭恵)】最初の大きな選択はやはり主人(安倍晋三総理大臣)との結婚でしょうか。私は24歳の最後の日に結婚しました。当時は「女性はクリスマス・ケーキ」と言われて、クリスマス・ケーキは25日までに売らなければ売れない。26日になったら売れ残ります。それと同じで、女性は26歳になると嫁に行けないと言われた、そんな時代でした。だから私も、25歳になる前に結婚しました。

【西川】ご主人とはどのようにして知り合われたんですか?

【昭恵】私は短大を卒業した後、電通に入社し、その時の上司の紹介で会いました。実はその頃は結婚する気はなかったんすけど(笑)。2年半ほどおつきあいして結婚しました。当時の安倍は政治家ではなく、父親(外務大臣、通産大臣など要職を歴任した安倍晋太郎氏)の秘書官をしていました。

今にして思えば、安倍と結婚したのも運命だったのかなと思います。普通のサラリーマンや違う職業の人ではなく、政治家と結婚した、それも後に総理大臣になる人間との結婚でした。それはたまたまかもしれないけど、そんな人生を自分で選んで生まれてきたのかなって今は思います。やっぱり縁だったんでしょうね。

あの頃は、結婚して、子どもも欲しくて、普通の家庭を築くのが私の夢でしたが、安倍と結婚したことでまったく違う人生を歩むことになりました。これも運命だったのかなと思います。

ーー第二のターニング・ポイント「人生で初めて東京を離れ、山口県に引っ越し」

【西川】二つ目のターニング・ポイントは?

【昭恵】結婚から数年後に安倍の父が亡くなりました。そこで、安倍が後を引き継いで政治家になる、選挙に出るということで、私も(安倍氏の地元である)山口県に引っ越しました。東京で生まれて東京で育って、初めての地方都市での暮らしです。

でも、選挙運動だけではつまらないと思って、犬を飼い、自転車を買って乗り回したり、海岸でコンサートを企画したり。今から考えると、政治家の妻としてはちょっと外れていましたね(笑)。

山口での暮らしは、山があり、朝日が昇ってくるのを見に行こうと思えば自宅から見ることができますし、海に沈んでいく太陽も反対側に行けば眺められます。関門海峡があり船が行きかっています。東京ではない景色、自然、環境に初めて触れて生活するようになったことで、なんて地方って素敵なんでしょうと、そこで初めて感じたことが今に繋がっているのかなって思います。

その頃は農業をやろうとは考えていませんでしたが、今「昭恵米」というお米を作ったり、農業を始めるのは東日本大震災3.11以降ですが、あの頃の山口での生活が今につながっているのかもしれませんね。

ーー第三のターニング・ポイント「安倍総理辞任へのバッシングの中でつかんだ、自分らしく生きる決意」

 

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【西川】そして三つ目のターニング・ポイントですが?

【昭恵】2007年に主人が総理大臣を辞任した時です。
―――(編集注)2006年9月に総理大臣に就任するが、翌年9月に健康上の理由から辞任。世間からの批判もあった。―――

多くの人が「たった1年で総理大臣の職を投げ出して」と批判して、主人は日本のためにあんなに頑張ってきたのに、なんで世間というのはこんなに冷たいんでしょうと、とても孤立した気持ちになって、精神的にどん底でした。誰かがニコニコ笑っているのを見るだけで涙がでるほど辛かった時期でした。

そんな状態の中で、自分はもっと自分らしく生きようという気持ちになりました。当時まさか主人が二度目の総理大臣に就任することになるとは思ってもみなかったことです。

それで、勉強しなおすため立教大学の大学院に入学し(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科修士課程修了)、自分で仕事をしようと思って居酒屋「UZU」を開きました。手話ダンスや長刀など、いろんなことを始めてみたんです。

行動してみると、それまでは自分の頭で考えることをしてこなかったと思っていたのに、実はちゃんと自分の考えがある、自分の考えを持った人間だと気づきます。他人から見たらどう見えるかわかりませんが、自分の中では大きな意識の変化がそこで生まれました。

ーー自分らしく少しでも前に進むことの大切さを伝えたい。

【西川】2007年以降のことは、昭恵さんも凄く悩まれたことと思いますし、やはりそこが大きな転機になられたのですね。とはいえ、昭恵さんはずっと大物政治家の妻として、そして二度の総理夫人として、大きなプレッシャーやストレスを受けられる中で、それでも「安倍昭恵」という一人の女性としてしっかりと生きている、生きようとしている意志をわたしたちは感じています。

自分の足でしっかりと立っていらっしゃる、その姿がカッコいいと思います。その、一人の女性として生きていらっしゃる、その原動力はなにか教えていただけますか?

【昭恵】どうなんでしょう(笑) 私は、ぜんぜん立派な人間でもなければ、カッコいいと思われるような生きかたをしてきたわけでもないんですよね。

でも、私の周りには、美しく活躍していて家庭もありという女性もたくさんいらっしゃって、もの凄くキラキラして見えるけど、その実、もの凄いいろんなものをみんな内側に抱え込んでいて悩んでいたりしますよね。

これは主人が総理大臣を辞めた時に激しい批判にさらされて、どん底を味わったから思うのかもしれませんが、他人からどんなに批判されても、つつかれても、自分を飾り立てるんじゃなくて、自分の心に忠実に生きることが幸せですと、少しでも示せたらいいなと思っています。

みんな、やっぱり怖いから一歩を踏み出せない、「こんなことができたらいいな」と思い描きながらも、これがないからできない、あれがないからできない、人から批判されるのが怖いとか、いろんなことを考えて一歩を踏み出すことができない方がたくさんいらっしゃいます。

でも、一歩じゃなくても半歩でも進んでみれば、なんとなくいろんな人やものが集まってきたり、助けてくれる人が現れたり、そのちょっとでも前に進むことが大事なんですよね。そのことを伝えられたら、そしてみなさんを勇気づけられたらいいなと思っています、それが原動力でしょうか。

ーー自立しながらも、甘えるところは甘え立てる。それがガール・パワー。

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【西川】では最後に、昭恵さんにとってガール・パワー(女子の力)とは?

【昭恵】私はなんだろ。怠け者で、ものすごい甘えちゃうけど、女だからそれが許されるみたいな(笑) それで得していることもあるし。でも、それって女子力とは違いますよね?

【西川】いえいえ。それも立派な女子力だと思います(笑)

【昭恵】やっぱり男性って、能力等は平等で一緒であっても、どこか女性に頼られて、それで男でありたいと思うところもあると感じています。だから、そこは「じゃあ、お願い!」って男性に甘えることも大切です(笑) 女性がなんでかんでも自分でやってしまうと、男の人の役割がなくなってしまうので、男性がやるべきところはやっていただいて、女性は「甘え立てる」! それは役割分担でもありますし、男の人はやっぱり立ててさしあげたいと思います。

なんでもかんでも男性に頼るのはダメですが、きちんと自立していながら、甘えるところはちゃんと甘える。それが成熟した女性の証です(笑)


インタビュアー

(インタビュー後記)

一般の女性とは異なる数々の人生の岐路、時には人生の修羅や苦しみを経験なさった安倍昭恵さん。彼女がいま、2回目の総理大臣夫人として、そして、ひとりの女性として輝いていることは、多くの人に勇気を与えてくださいます。彼女の輝きの奥には、自らの運命を受け入れていらっしゃる覚悟が感じられました。

安倍晋三氏との結婚を運命として受け入れられ、2007年の苦しみも乗り越えられ、その経験が糧となり、ご自身の思いを大切に生きられているのだと思います。

昭恵さんから教えていただいた「ガール・パワー」とは、上手に甘えることのできる女子力です。女性が社会でリーダーシップを発揮する機会が増えるにつれて、強いデキる女性を演じがちです。でも、自分ひとりで背負いすぎず、時に誰かに甘えることができれば、その強さは、しなやかな強さになります。これこそ、私たちユース世代女子が学ぶべき、大人の女子の智慧です。ありがとうございました。

(西川礼華)