本当に必要な子どもたちへの教育とは?
一流大学入学が子どもたちのゴールではない
一般的に親というものは、子どもにより良い人生を歩ませたいと願っています。そのため、より良い教育を与えたいと思います。より良い教育とは、一般的に就職に有利な一流大学に入学させることで、そのために進学実績の良い中学・高校に進ませます。そこを目指す子どもも多いです。だから都心の公立小学校の中には、中学受験率が9割という学校も出てくるわけです。学歴偏重がいくら批判されても、高学歴を目指す親も子どもも減っていません。むしろ昔より増えています。
しかし、当然ですが子どもたちにとって大学入学はゴールではありません。多くの学生が就職をする現状を考えれば、就職が子供としてのゴールと言えるでしょう。(その先には大人としての人生のゴールがありますが)
子どもの教育とは、その子が自立した大人になるための教育だと考えれば(ほとんどの親はそう考えるでしょう)、自立とはほとんどの場合、まずはどこかに就職することですから、教育は就職を見据えたものであるべきだと思います。プロのアスリートやゲーマーになって生きていく人生もありますが、そのような何らかの特殊な才能のある子は、子どもの頃から頭角を表しています。そうでない子は将来、どのような道を歩もうとも(どんな会社に就職したいと考えても)役に立つ能力を育んでおく必要はあるでしょう。
いまだに一流大学が就活に有利なことは事実ですから、学力を上げることが重要なことは必要です。しかし、もっと重要な能力があります。それがコミュニケーション能力です。
就職で最も重要なコミュニケーション能力
経団連によるアンケートでは、「企業が学生に求める力」として「コミュニケーション能力」が毎年1位に挙げられます。企業が求める能力なのですから、大学はもちろん、中学・高校でも子どもたちのコミュニケーション能力を伸ばす教育をすべきですが、実際にはどこの学校もおまけ程度にしか取り組んでいません。学校教育と企業が求める人材像とのギャップがここにあります。
さらに言えば、大企業への就職を否定して、起業する、フリーランスで生きていく、フリーターとして働きながら好きなことをして生きていくなど、さまざまなオルタナティブな生き方を選択するにしても、社会で生きていくために最重要なのはコミュニケーション能力です。ゲーム空間で生きているゲーマーでさえ、一人で作業を続けるクリエーターでさえ、一流になるにはコミュニケーション能力が必要となります。どんな生き方をするにしても、問われるのはコミュニケーション能力なのです。
ダンスが育むコミュニケーション能力
ところで、コミュニケーション能力とは単なるスキルのことではありません。ビジネス社会におけるコミュニケーション能力とは、単なる人付き合いの方法ではなく、表現力のことです。その能力を育むために必要なことはリベラル・アーツです。かつての旧制高校生や大学生は読書と友人たちとの議論がリベラル・アーツとなっていました。今でも欧米の大学の基本は同じです。日本でも高校でビジネス・プレゼンの教育を行うなど、新しい教育法を取り入れる学校も増えてきました。その中で、現代の女の子にとっては、ダンスもまた非常に有効なコミュニケーション教育であると考えられます。
理由は
- ダンスが好きな子が多い(友達が作りやすい)
- 表現力を養われる
- 楽曲を理解する必要があるので解釈力(リテラシー)が養われる
- ダンスでも歌(歌詞)を理解する必要があり、国語力(語学力)がアップする
- 楽曲の背景にある文化を理解する必要があり、リベラル・アーツ教育にもなる
- ダンスはチーム・プレイなので協調性が育まれる
- 一つの作品(ステージ)をみんなで作り上げることで仲間意識が芽生える
- 演出、振り付け、音響、照明などさまざまな役割の大人と一緒に作業をすることで、大人とのコミュニケーション能力もアップする
- 高いコミュニケーション能力の基盤となる自己肯定感を高める
などなどさまざまな理由から多大な効果が考えられます。
最大の利点は、自己肯定感が低かったり引っ込み思案で他人とのコミュニケーションが苦手な子でも、その能力を上げてくれることです。ダンスの練習は没入感が得られますから、最初は一人でも練習を続けられます。そうやって練習してダンスが上手くなって来れば、自然とチームで踊りたい、ステージに立ちたいお思うようになり、チーム・メンバーとコミュニケーションできるようになります。
他人とのコミュニケーションが苦手な子も、共通の話題、目標があればコミュニケーションも比較的容易ですし、友だちも作りやすいのです。そうやって、だんだんと自分を外に向けて開いていくことができます。今の女子中高生はダンスが好きな子が多いですから(部活人気ナンバーワン)、ダンスを入り口にコミュニケーション取れる子が多いのです。引っ込み思案で友だちを作りにくい子でも、ダンスなら仲間を作れる。そんな女の子は多いと思われます。実際、引っ込み事案で友だちもいなかったという女の子が、今ではアイドルとして活躍している。そんな例はたくさんあります。
あらゆる女の子の未来を築く。ダンスにはそんな力があるのです。